この記事の目次（クリックでジャンプ）
1. はじめに：LINEの初期設定が招くプライバシーリスク
LINEは、日本をはじめ多くの国で日常的に利用されている人気のメッセージングアプリです。しかし、初期設定のまま使用していると、個人情報やプライバシーが思わぬ形で流出する可能性があります。多くのアプリケーションは、利便性やサービス改善を優先するため、デフォルトでデータ収集や友だちの自動追加などが有効になっていることが多いのです。プライバシー設定を見直さないまま使い続けると、想定外の相手とつながってしまったり、位置情報やウェブ閲覧履歴などをアプリ提供会社に取得され続けたりと、リスクが高まります。
本記事では、LINEの初期設定から見直したいおすすめのプライバシー保護設定をわかりやすく解説します。通知設定や友だち追加の仕組み、パーソナルデータの収集を制限する方法、エンドツーエンド暗号化など、多角的に情報を整理し、より安全にLINEを使うための具体策をまとめました。今や社会インフラともいえるコミュニケーションツールだからこそ、自分のプライバシーを守る意識を持って活用していきましょう。
2. アカウントセキュリティの基礎
アカウントの不正アクセスを防ぐためには、まずはLINEにおけるログインの許可範囲を見直し、強固なパスワードや二要素認証を活用することが大切です。デバイスを盗まれたり、不正にログイン情報が流出した場合でも、あらかじめ複数層のセキュリティをかけておけば被害を最小限に抑えられます。
■ 他の端末からのログイン許可を無効にする
パソコンやタブレットなど、複数の端末からLINEを使うことは便利ですが、その分不正アクセスのリスクが高まります。もし使っていない端末からログインされると、知らない間にトーク履歴や連絡先情報を抜き取られる可能性も。
設定画面から「アカウント」に進み、「ログイン許可」をオフにすることで、思わぬ端末のログインを防げます。複数端末でアカウントを利用したい場合は、Webログインの二要素認証を必ず有効化しておくと良いでしょう。
■ パスコードロックでLINEアプリを守る
パスコードロックを設定しておくと、スマートフォン自体のロック画面を解除されたとしても、LINE内へのアクセスに追加のパスワードが要求されます。これはスマホ紛失時や盗難時はもちろん、家族や友人にスマホを触られた際のプライバシー保護にも役立つでしょう。
設定方法は、設定画面の「プライバシー管理」から「パスコードロック」をタップし、画面の指示に従ってパスコードを設定するだけです。複数のロック手段を組み合わせることで、多層防御を実現できます。
3. あなたを見つけて接続できる人を制御する
LINEには、電話帳やIDを使って簡単に他者とつながる機能が充実しています。これは利便性の一方で、プライバシーのリスクにもつながりやすいため、設定の見直しが必須です。
■ 「友だち自動追加」をオフにする
初期状態ではスマートフォンのアドレス帳に登録されている連絡先を、自動的にLINEの「友だち」として追加してしまいます。これだと、普段連絡を取らない人まで自動で紐づいてしまい、意図しないコミュニケーションが発生する可能性があります。
設定画面の「友だち」→「友だち自動追加」をオフにすることで、誰をLINEで繋ぐか細かくコントロールできます。
■ 「IDによる友だち追加を許可」をオフにする
LINE IDを知っているだけで誰でも友だち追加が可能になってしまう機能です。もしIDが何らかの形で公開されてしまうと、見ず知らずの相手から突然メッセージが届くことも考えられます。
プライバシー管理からこの設定をオフにしておくと、ID経由の望まないつながりを制限できます。
■ 「友だちへの追加を許可」をオフにする
あなたの電話番号を登録している相手が、自動的にあなたを友だちとして追加することを許可する機能です。相手側の電話帳に自分の番号が保存されているだけで、許可なく接触される可能性があります。
「友だち」設定からオフにすることで、自分の意志に反した一方的な追加を防止できます。
4. プライバシーのためのメッセージと通知の管理
通知の内容やメッセージの受信設定を工夫するだけでも、個人情報流出のリスクを大幅に下げることが可能です。
■ 友だち以外からのメッセージ受信拒否
友だちリストにいないユーザーからのメッセージをブロックする機能があります。スパムや迷惑行為を軽減できるため、設定画面の「プライバシー管理」でオンにしておきましょう。
■ 通知でメッセージ内容を非表示にする
ロック画面の通知にメッセージ内容が表示されていると、誰かにスマートフォンを見られた際に会話内容を覗かれてしまう危険があります。
設定の「通知」から「メッセージ内容表示」を「表示しない」か「送信者名のみ」に変更しておくと、ロック画面では詳細がわからないようにできます。
■ 「ミュートメッセージ」で通知を抑える
夜中や早朝にメッセージを送りたい場合でも、相手に通知を飛ばさずに送れる「ミュートメッセージ」機能もあります。相手のプライバシーや時間を尊重したい場合に活用すると、迷惑をかけにくくなるでしょう。
大きなセキュリティ要素ではありませんが、相手の受信状況に配慮できる点で丁寧なコミュニケーションといえます。
5. プライバシー設定とデータ共有の微調整
LINEを利用していると、アプリがさまざまな個人データにアクセスする権限を持つケースがあります。不要な権限をオフにすることで、不必要なデータ収集を抑えることが可能です。
■ アプリ連携・許可の見直し
カメラやマイク、ストレージ、連絡先など、スマホ自体の端末権限をアプリが取得しているか定期的にチェックしましょう。不要な機能にアクセスを許可しないことが、個人情報保護の基本です。
■ LINEに提供する情報を制限
「プライバシー管理」から「情報の提供」を開くと、コミュニケーション関連情報や位置情報の取得、LINE Beaconなどを無効にできます。これらをオフにすると、LINEが収集するデータ量を減らすことが可能です。
無料アプリの多くは、広告やサービス改善の目的でユーザーデータを活用しています。自分にとって不要だと感じる場合は、データ提供を最小限に抑えるのが得策です。
■ パーソナライズ広告のオプトアウト
「プライバシー管理」→「広告の設定」から、Web行動履歴を利用した追跡型広告や、LINE内部識別子を利用した追跡型広告の受信をオフにできます。また、サイト訪問履歴とLINEアカウントを関連づける機能も併せて無効にしておくことで、より多くのトラッキングを回避できます。
■ Letter Sealing（エンドツーエンド暗号化）を有効に
「Letter Sealing」をオンにすることで、トーク内容をエンドツーエンドで暗号化し、送信者と受信者以外は内容を読み取れないようにできます。
この機能が効果を発揮するには、やりとりする相手側もオンにしている必要があります。大切な情報をやりとりする場合は、双方でLetter Sealingを有効化しておきましょう。
■ 写真の文字認識をオフにする
画像内の文字をAIが認識して解析する機能をオフにしておくと、万が一にも機密情報やプライベートな文字情報がLINEサーバーに取得されるリスクを抑えられます。
設定の「プライバシー管理」から「写真の文字認識」をオフにするかどうかを検討してみるとよいでしょう。
6. QRコードのセキュリティ
QRコードを使って友だち追加をしてもらうのは簡単ですが、不特定多数の人にコードを配布してしまうと、望まない人からのアクセスを許可してしまう可能性があります。
■ 定期的な更新でリスクを減らす
一度作成したQRコードでも、設定画面から更新することが可能です。もし広く配布したり、ネット上に掲載したりした場合は、不要になったら更新して古いQRコードを無効にするのがおすすめです。
LINEをビジネスやイベントで活用する際も、定期的なQRコードの見直しが安全対策に役立ちます。
7. LINE Labsの追加機能を活用してプライバシーを高める
LINE Labsでは、新しい機能や実験的な機能が先行公開されることがあります。これらを活用することで、プライバシー面でもより柔軟な管理が可能となる場合があります。
■ トークフォルダーで整理する
トークの種類（個人、グループ、公式アカウントなど）をフォルダーで分けることができれば、誤送信や意図しない情報共有を防ぎやすくなります。特にビジネス利用や大量の友だちを持つ人には有効です。
■ ミュートメッセージ
通常の設定画面ではなく、LINE Labsからミュートメッセージを有効にするケースもあります。相手への通知をなるべく抑えたい場合にうまく使いこなしましょう。
8. 初期設定時に注意すべきポイント
新しくLINEを使い始めるとき、またはスマホを買い替えてLINEを再インストールするとき、最初のオンボーディングで多くのデータアクセスや連絡先同期が有効化されることがあります。
アドレス帳との同期を最初に行わない選択をすることで、一斉追加によるトラブルを防げます。手動で連絡先を追加すれば、誰とつながるかを自分の意思でコントロールできます。
9. 結論
LINEを安全に使うためには、初期設定のまま放置するのではなく、自分自身のプライバシーやセキュリティを最適化できるように、細かな部分まで積極的に見直すことが重要です。友だち自動追加やログイン許可などの便利な機能も、時には情報漏洩のリスクを高める要因になります。
また、パスコードロックや二要素認証、エンドツーエンド暗号化（Letter Sealing）といった機能は、万一の際にデータを守る最後の砦です。アプリが進化していく中で、新たに追加される機能やデフォルト設定がどのようにプライバシーに影響するかを定期的にチェックし、必要に応じてオプトアウトや権限の取り消しを行いましょう。
最終的にユーザー自身がプライバシー意識を高め、定期的に設定を見直すことで、快適かつ安全にLINEを使い続けることが可能になります。あらためて時間をとって、自分にとって最適な設定を選んでみてください。
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