お金術 投資・資産運用

「平均利回り」と「固定利回り」の違いとは?資産形成における重要なポイント

2025年5月1日

1. 「平均利回り」と「固定利回り」の違いとは?

資産形成や投資を考えるとき、よく耳にする言葉として「平均利回り」があります。これは複数年にわたる投資実績を平均して算出した数値ですが、実際の最終的な手元資金を見ると、必ずしもこの平均利回りどおりには増えないことがあります。たとえばNISAや保険商品など「変動型の利回り」を持つ投資では上下動があり、一方で定期預金など「固定利回り」の場合には安定的に増えていく特徴があります。
それでは、なぜ同じ「平均5%」でも最終的に手元に残る金額が異なるのでしょうか。ここでは、具体的なシミュレーションを用いて、その理由とポイントを詳しく解説します。

変動利回りと固定利回りをイメージした画像

まず、大前提として「平均利回り」はあくまで数字上の平均であり、年ごとの増減がどのように影響するかは考慮されていないという点が挙げられます。株式投資ではボラティリティ(価格変動の幅)が大きいほど、平均して同じような利回りが出たとしても実際の最終額は想定よりも低下しがちです。一方で、毎年の利回りが一定の投資商品は、そのぶんリスクは低く、複利効果も安定して働きやすい特徴を持っています。

本記事では、まず「変動型(平均5%)」の運用と「固定利回り5%」の定期預金を比較するシミュレーション結果を紹介します。その後、NISA保険商品など、現実的に想定される利回りを踏まえながら、変動型と固定型のリスク・リターンの違いについて見ていきましょう。最後に、資産形成を行う上での具体的なアクションや考え方についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

2. シミュレーション結果:変動型(平均利回り5%)と固定5%の比較

以下のシミュレーションでは、元本1,000万円を運用した場合に4年間でどれくらい差が出るのかを確認しています。変動型の運用が「平均5%」になるケースと、固定利回り5%の場合です。
しかし、この結果には大きな差が出ました。具体的には以下をご覧ください。

投資シミュレーションのグラフイメージ

【A】変動型の運用(平均利回り5%)

  • 元本:1,000万円
  • 各年のリターン:+20% → -10% → +15% → -5%
1年目:1,000万円 × 1.20 = 1,200万円
2年目:1,200万円 × 0.90 = 1,080万円
3年目:1,080万円 × 1.15 = 1,242万円
4年目:1,242万円 × 0.95 = 1,179.9万円

⇒ 最終額:約1,180万円(+18.0%)


【B】固定利回り5%の定期預金

  • 元本:1,000万円
  • 各年のリターン:毎年+5%(複利)
1年目:1,000万円 × 1.05 = 1,050万円
2年目:1,050万円 × 1.05 = 1,102.5万円
3年目:1,102.5万円 × 1.05 = 1,157.6万円
4年目:1,157.6万円 × 1.05 = 1,215.5万円

⇒ 最終額:約1,215万円(+21.5%)

ここで注目すべきなのが、同じ平均5%という数字(20% -10% 15% -5% を単純平均すると約5%前後)であっても、変動があるかどうかによって最終的なリターンが異なるという点です。変動が大きいと、プラスのときには大きく増えますが、マイナスのときの減り方も大きく、トータルでは複利効果があまり得られない状況になります。

3. 変動型運用が持つリスクと複利効果の低下

変動型運用(株式投資など)では、市場の状況に応じて利回りが上下します。株価が大きく上がる年もあれば、大きく下がる年もあります。
この上下動の際に、大幅なマイナスが出た翌年の運用では元本が減少しているため、次にプラスの利回りが出たとしても増える額が相対的に小さくなります。これが、複利効果を損ねる原因です。
一方で、上手く波に乗れれば、大きくプラスを狙える可能性があるのも変動型の魅力です。投資期間が長ければ長いほど、変動を繰り返しながらも平均的には上昇していくという考え方もあります。しかし、短期~中期での資産形成を目指す場合は、安定性の高い運用の方が結果的に手元にお金が残るケースが少なくありません。

株式チャートの大きな上下動をイメージ

金融商品の中には、変動型でも比較的安定した値動きのもの(債券、バランスファンドなど)もあれば、大きく振れやすいもの(個別株、レバレッジをかけた投資信託など)もあります。自分のリスク許容度や目標リターン、投資期間を考慮しつつ、適切な商品を選ぶ必要があります。

4. 固定利回りのメリット:ブレがないからこそ確実に増える

次に、固定利回りを採用している商品を見ていきましょう。身近な例としては定期預金がありますが、利率自体は低めであることがほとんどです。ただ、万が一にも金利5%程度の定期預金があるならば、上記のシミュレーション通り、変動型で平均5%を狙うよりも最終的な元本は大きくなる可能性があります。
それは、毎年確実に5%増えるため、複利効果が最大限に発揮されるからです。運用期間が長くなればなるほど、複利は大きな差を生み出すことになります。もちろん現実には、「5%で安定して増える」定期預金は通常ありませんが、たとえば外貨建ての定期預金など、通貨によっては比較的高めの利率を提供しているケースもあります。ただ、その場合は為替リスクを伴う点に注意が必要です。

硬貨の積み重なりをイメージした写真

投資を行う際、「安定性を重視するか、リスクを取ってリターンを狙うか」の判断は非常に大切です。なぜなら、大きくマイナスが出たときのダメージは、プラスを上回るほど取り戻すのが大変だからです。実際、15%増えたあとに10%下落した場合、単純計算で平均は2.5%となるかもしれませんが、基準となる元本が変わっているため、実質的な最終金額は平均から想像するよりも少なくなります。

5. NISAや保険商品の現実的な利回りとリスク

次に、NISAや保険商品など現実的によく利用される商品の利回りを見てみましょう。以下のように、商品によって想定利回りやリスク、税制優遇の有無は異なります。

商品種類 想定利回り(平均) リスクの有無 税制優遇
NISA(株式投資) 年3~7%(変動) 高め あり
保険商品(外貨建て等) 年2~4%程度(変動) 中程度 一部あり
定期預金(外貨・海外など) 年5%以上(固定) 低め(為替のみ) なし(円で見た場合)

注意:上記はあくまで一例であり、実際の利回りや条件は商品によって大きく異なります。また、外貨建て商品の場合は為替変動がリスクとなり得ます。見かけ上の利率は高くても、円高に大きく振れると実質損失になってしまうケースもあるため、一概に「固定利回り」=「安全」とも言い切れません。
しかし、同じ「平均利回り5%」を想定するのであれば、変動型よりも固定型の方が長期的には安定して複利を得られやすい傾向があるという点は、資産形成を考える上で押さえておきたいポイントです。

NISAや保険商品イメージ

6. まとめ:平均利回りにとらわれず、実質リターンを見極める

投資や資産形成では、どうしても「何%で増えるか」が気になりがちです。しかし、「平均利回り」だけを見ていると、実際の最終金額との間に意外なギャップが生まれることがあります。
今回のシミュレーションでもわかるように、変動型は大きく上振れする可能性がある反面、マイナスの影響を強く受け、結果として複利効果が損なわれる傾向があります。一方、固定利回りで安定運用できる商品は、年ごとのブレが少ないため、確実に複利を活かして資産を増やしやすいのです。

とはいえ、固定利回りが高い商品は世の中にそう多くはなく、もし見つかった場合も為替リスク途中解約のペナルティなど、別のリスク要因が潜んでいる可能性があります。
投資はあくまでリスクとリターンのバランスで考えるものです。NISAで株式投資を行いながら、保険商品定期預金などで安定部分を確保しておくのも良い方法でしょう。自分の年齢や資産状況、ライフプランに合わせて、変動型と固定型を組み合わせるのは一般的な手法です。
また、投資期間が長期の場合は変動リスクをある程度許容してリターンを狙い、短期で使うお金はできるだけ安全資産や固定利回りに回す、というような資金の「仕分け」も重要となります。

資産分散をイメージした画像

最後に、「平均利回り」よりも「安定した利回り」を優先すべきシーンとしては、老後資金教育資金など、比較的安全を重視するお金が該当します。ここでリスクを取り過ぎると、大きなマイナスが出た際に計画が狂ってしまいかねません。
複利効果は、投資の世界では「最大の味方」です。複利効果を最大限に活かすためには、安定的に右肩上がりで増える商品が理想的といえるでしょう。たとえ平均利回りが同じでも、安定運用の方が最終的な手取りが多くなる場合があるという事実を、ぜひ覚えておいてください。

結論

「同じ平均利回りなら、ブレが少ないほうが最終的なリターンは大きくなる」。これは、変動によるマイナスの影響が複利効果を大きく損なうからです。
投資商品を選ぶ際は、平均利回りの数字だけで飛びつかず、どの程度の変動幅があるのか、リスクはどれほどかを考慮する必要があります。安定した商品が必ずしもベストとは限りませんが、ライフプラン上で確保しておきたいお金は、固定的な利回りで増やす選択肢を強く検討する価値があります。

 

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